性能が良い飛行機と言われたらどんな飛行機をイメージしますか?

  • 航続距離が長い
  • 巡航速度が速い
  • たくさんの乗客や貨物を搭載できる
  • 離陸、着陸距離が短い
    などなど

全部正解です。
旅客機のような大きな飛行機は乗客や貨物をたくさん搭載できるでしょう。
逆に一人や二人乗りの小さな飛行機は短い距離で離着陸できるし、より機敏な飛行を行うことができるでしょう。

ただし、同じ飛行機であっても、これらの性能はフライトのたびに変わるんです。

飛行機の性能を左右する要因

ずばり、飛行機の重さとその時の大気の状態に左右されます。
*同じ飛行機の性能変化という意味です。(どんなに条件が良くても、常識的な範囲ではセスナが 747 より速く飛ぶことはできません笑)

重量

飛行機は軽いほど性能が良くなります。
これは車も同様ですね。
軽い方が機敏で、より速くより少ない燃料で飛行することができます。

飛行機は最大離陸重量や最大着陸重量など、強度の理由から運用上の最大重量が決まっています。
だからといって毎回そのギリギリで運航するわけではなく、どちらかといえば可能な限り飛行機を軽い状態にして運航しています。

ペイロードについて

飛行機の性能とは少しずれますが、「お金になる重さ」という意味です。 飛行機の使用用途は多種多様で、実験や軍事的なものもありますが、今回は商業的な利用という想定で書かせていただきます。
飛行機を使ったビジネスは、人や貨物を輸送するというものが基本です。(アクロバットとかは除きます)

その人や貨物をどれくらい積載することができるのかというのを示したのがペイロードになります。
最大重量がカタログで決まっている中で、飛行機の重さはペイロードとそれ以外に分類されます。

ビジネス的な観点ではペイロードの割合を最大化するために、それ以外の燃料の搭載量を安全な範囲内で最小限にして飛行しています。
*燃料は目的地が変更になった場合なども考えて、十分に安全な量を搭載しています。

ペイロードとそれ以外の関係

重心

重心も飛行機の性能に関係してきます。
重心とは飛行機の全重量の中心点のことです。ボールペンを指1本で支えてみてください。ボールペンが落ちずにつり合いが取れる点が重心になります。

飛行機は重心によって燃費が変わってきます。
今回は詳しい理由は省きますが、重心が後ろにあるほど燃費が良くなります。
リュックを体の前で抱えるより、背負った方が動きやすいですよね?
それと同じで重心が後ろにある方が飛行機も動きやすく、少ないエネルギー(燃料)で飛行することができるのです。
ただ、後ろすぎるのは安定性が著しく低下するため NG です。重心は決められた範囲内に収まるように貨物の配置などを工夫しています。

重心のイラスト

大気の状態

飛行機と風には密接な関係があります。
向かい風がいいのか追い風が良いのか、飛行フェーズごとに変わってきますが、より性能が良くなるように飛行します。

飛行機のエンジンは、燃料と空気を混ぜてパワーを生み出します。
そのため、その日の空気の状態によってエンジンの性能が変化します。
具体的には、同じ量(体積)の空気を取り込んだ時に、その空気がぎゅっと詰まっていた(密度が大きい)方が、たくさんのパワーを生み出すことができます。

飛行機は向かい風で離着陸します。向かい風でより多くの風を受けることで、速度が遅くてもたくさんの揚力を生み出すことができ、離着陸に必要な距離が短くなるためです。

逆に巡航中はできるだけ追い風になるよう飛行します。
理由は車や自転車と同じで、風に押してもらうことでより速く飛行できるからです。

空気の密度

「密度」という言葉で急に物理っぽくなって拒絶反応を示しそうな方もいるかと思いますが、計算や方程式は一切出てきませんので安心してください。
*この記事では密度と気圧を同じような意味で扱ってしまっていますが、別の記事で2つの違いを解説します。

密度というのは、どれくらい詰まっているのかというのを表す言葉で、空気の密度は温度・湿度によって変化します。

密度を表すイラスト

エンジンは空気の密度が高いほどパワーが出せます。
これは、空気の密度が高いほど多くの空気をエンジンが取り込むことができるためです。

では、空気の密度が高くなるのはどのような時でしょうか。

  • 温度
  • 湿度

この2つが関係しています。

温度が低いほど密度は高くなります。
そのため、冷たい空気は下へ、暖かい空気は上へと移動するのです。

湿度は空気の中にどれくらいの水蒸気が含まれているのかを示すものですが、湿度も低いほど密度が高くなります。
空気と水蒸気では水蒸気の方が密度が小さいため、湿度が高く空気の中により多くの水蒸気が含まれるほど、空気の密度が小さくなります。

パイロットが普段考えていること

実際の運航ではこれらを考慮し、飛行機の性能をできるだけ発揮できるようにフライトを計画します。

離着陸距離を短くするために

離着陸は先ほど説明した通り、向かい風になる方向で離着陸するようにします。
その時の空港の運用により、滑走路を使用できなかったり風向きによって真横からの風になる場合もありますが、できるだけ向かい風になるようにします。

また、そのときの風の強さや利用できる滑走路の長さによってはフラップを使用するのかどうかも変化し、適切に判断する必要があります。

燃費良く飛ぶために

より少ない燃料で飛行するためにはどうすればよいでしょうか?

1つは追い風になるように飛ぶことですよね
ただし目的地の方角は変わりません。どうしても向かい風でしか飛ぶことができない日ももちろんあります。
この時は高度を変化させます。普段飛んでいる高度よりも低い方が向かい風が弱いのであれば、高度を下げて飛んだ方が燃費が良くなる場合もあります。
ただし、基本的には高高度ほど燃費良く飛行できるため、最も効率が良くなる高度を計算して決定します。

windyの高高度
*24,000 ft の風 windyの低高度
*3,000 ft の風

高高度ほど燃費が良いという言葉は、この記事で言っている「空気の密度が高いほどエンジンのパワーが出る」というのに矛盾していると感じられると思います(高高度ほど気圧は低いのだから)。ここを詳しく説明するのにはまだ早すぎるため、とりあえずはどっちも正しく、矛盾はしていないとだけ理解してください。